=忠通の長男次男三男、そして菖蒲若について=
2回目更新でっす。ビールがうまい。
ということで2回目です、今回は忠通が菖蒲若を養子にした動機などを
のらくらと捏造・考察していきたいと思います。
画像は長男と次男と忠通。うーんなんというかなんというか。
養子にした最大のポイントは、忠通に嫡子がいなかったこと。
歴史の教科書にも書かれているとても分かり易い理由です、
それについてちょっと掘り下げてみます。
前ファイルでも書きましたが、忠通には正室宗子さんとは子女(聖子ちゃん)しかおらず、
男の子はよそで作っておりました。
・最初の男子は17歳の時の子、名を恵信(1114-1171)
母親は陸奥守藤原基信の娘。残念ながら藤原基信の名は殆ど資料に出てきておらず
奥州藤原氏関連の人間だということ位しか分かりませんでした、すいません。
息子の藤原景綱の方が有名なようです。
その景綱ですが、平氏に仕えた有力家人で保元・平治の乱では平氏について参戦しています。
保元物語でもその名を伺うことができます。
そんな基信の娘さんですが、奥州藤原氏の系譜を持ち、なおかつ平氏との関わりが深い家の人間と
なると1114年代の藤原摂関家にとってはあんまり都合の良い人ではありませんよな。
そういう意味でも「嫡子」として認められなかった理由の一つかもしれません。
恵信の生い立ちについてはかなり面白い論文があります(情報源;ツイッターで教えていただきました)
坂井孝一氏の書かれた「伊豆僧恵信-或る門閥僧侶の悲劇-」という論文です。
平安末期から鎌倉初期の仏教も絡めて読むと、驚くほど興味深いことが分かりますので
おひまな方はグーグルちゃんで検索してみて下さい。すぐ出てきますよ。
加えて玉葉論文(「玉葉を読む」/興福寺への御願供養と料所寄進:高山京子氏論文)も
調べてみると面白いことが分かって、これまたわくわくしますので
この辺にどっぷり浸かりたい方は是非買って読んでみてください。
・次男は覚忠(1118-1177)忠通18歳の時の子、母親は不明。
天台座主や三井寺長吏もつとめた僧で、特にすぐれた歌人として名を上げた人物です。
(兼実とも交流があったのではないかという記述もあります/「今鏡」巻五より)
一体どんな生涯を送ったのか探ることができませんが、その出自ゆえに
恵信と同じく「摂関家の人間」として寺社勢力社会へ送り込まれたような印象を受けます。
しかしまあ忠通よ、
おまえまーた性懲りも無くよそでつくりおってからに。
若いからしょうがないよね、で済めばいいのですが、
妾腹に次ぐ妾腹に正室の宗子さんにとっては大激怒物件だったそうです。
「今鏡」の記述抜粋ですが
「北の方はきびしくものし給ひしかども」やら
「いなごなどいふ虫の心を少し持たはばよく侍らまし」
とまあ、蛇蝎のごとく妾腹の子を嫌っているような書かれよう。
しかし今鏡もなんというか記述内容に今ひとつ信じがたい所があったりするので
「めちゃくちゃ嫌っておるでー」というのは後付誇張表現なんだろうと思います。
恐らく嫡子が出来ないのは心理的負担があった筈なので、必然的によその子とはあんまり会いたくない
そんなデリケートな事を大きくクローズアップされた可能性もあります。予測の範囲ですが。気の毒です。
あと、これも曖昧でちゃんとした根拠は無いのですが
忠通さん自身も「これ俺の子だっけ?」という不確定要素もあって、二人とも寺に入れたんじゃないの
という論もどこかで見た覚えがあります。すいませんちゃんと残しておけば良かった。
というなかなか複雑な事情がございますが、実は待望の三男が生まれています。
1127年、忠通30歳の時の子です。
正室宗子さんの子です、ばんざい!!!!!!
しかし可哀想なことに数ヶ月で亡くなってしまいました。乳児死亡率が高かった時代ですからのう。
彼には名前も残っておらず、彼女の悲しみは計り知れません。
さてここでお気づきの方はいらっしゃると思いますが
菖蒲若と養子縁組したのは1125年のこと(菖蒲若5歳)三男が生まれたのは1127年ですね。
年月から計算すると一応忠通も頑張って子作りしてなんとか嫡子を作って、養子縁組解消してやろうという
動機がちょっとは見え隠れしているように思えます。
なーんとなく、忠実への不信感も手伝ったのではないかと…
結果は上記の通り、思惑とは違う方向に事は進みました。
待望の嫡男を亡くしたことにかなりの失意があったでしょうな。
こんな事態になってしまった以上、
忠通としては菖蒲若を大事に育てようとしたのではないでしょうか。
菖蒲若まで死んでしまっては摂関家の地位はそれこそ危ぶまれます。
他所の子は駄目、自分の子は出来ない、この八方塞がりの状況では菖蒲若を
自分の思うように育てるのが一番ベストな選択だと考えられます。
従順で素直な息子に育て傀儡にしたら、それこそ忠実への反撃材料になりますよな。
でも実際引き取ってみたら、想像以上に暴れん坊天狗で手を焼きまくる毎日。
思惑とちがーーーーーーーーーう!!と戸惑う忠通。
もうなんつうか、運がないというか可哀想というか。
当初の動機は不純なれど、
一緒に暮らしていると色々愉快な菖蒲若に魅力を感じていればいいと思います。
そんなあほ妄想を捏造しまくっています。
ちょっとややこしい話ばかりになりましたので、3回目は気楽に読めるやつにします。
お帰りはブラウザのバックでお願いします。